知ろう

伊豆大島ジオパークの基本情報と見どころ紹介

ジオパークとは

ジオパークとは、自分たちが暮らす大地(ジオ)の成り立ちや特徴をよく知り、その地域だからこそ育まれた景観や動植物、人々の暮らし(歴史・伝統文化・風習・食・祭事・地場産業・地産品など・・・)を大切な宝物として守りながら、教育・防災・産業振興などの取り組みに上手に活用している地域のことをいいます。


伊豆大島ジオパークが目指すもの

そして、地域のことをよく知ることによって、自分たちの地域が決して単独で存在するわけではなく、地球の大きな営みの中から誕生したことや、周りの地域と深く関わり合いながら生命や暮らしが育まれてきたことがわかります。すなわち、大切にすべき対象は自分たちの地域だけではないことに気づきます。

ジオパーク(GEOPARK)」という言葉には、自分たちの地域のことはもちろん、すべての源である大地=地球(ジオ)地球と私たちの暮らしとのつながりを「楽しみながらよく知ろう!」という想いがこめられています。


伊豆大島ジオパークの特徴


伊豆大島全域をエリアとしています
フィリピン海プレートの東の縁に位置し、地球活動であるプレートの運動によって生まれた、日本でもひときわ若くて活発な火山島 です。
誕生したときから大陸と接したことがない、周りを海に囲まれた 海洋島 です。


そのため
気象状況によって断絶しやすい交通や物流、水不足など限られた資源から成る厳しい生活環境に加え、繰り返される噴火・地震・津波・大雨・強風など、地球が生きている証拠である自然現象の影響を受けやすく、度重なる自然災害からの再生・復興を果たしてきました。
人々や動植物は、このような過酷な環境に適応し克服する強靭な心身と豊かな知恵を持ち、自然の恵みを活用しながら、島特有の生態・歴史・文化・生活をつむいできました。


だからこそ
厳しい生活環境や自然災害の厳しいリスクを抱えつつも、この伊豆大島ジオパークでは、
地球の鼓動と体温を身近に体感し、地球活動が生み出す真新しい地学現象を常に観察できます。
島独自の貴重な生物の宝庫であり、生き物の進化の過程を学ぶことができます。
溶岩や火山灰で覆われ草木が一本も無くなった土地(裸地)から、植物の種類の移り変わりがそれ以上進まなくなった森林(極相林)までが形成される過程を、コンパクトな範囲で体験できます。
自然と向き合い生きてきた人の暮らしの知恵や豊かな文化を知ることができます。
火山や黒潮がもたらす自然の恵みを五感で楽しめます。

伊豆大島ジオパークは、2010年9月に日本ジオパークに認定されました。

伊豆大島ジオパークでは当地域の特徴を活かし、島民はもちろん、来訪者とともに、地球活動の痕跡や現象を間近に体感しながらそれらを科学的に理解し、このかけがえのない地球上で自然と共存する豊かな感性と知恵を携え、よりよい生き方を考える活動を行っていきます。




ユネスコ世界ジオパークと日本ジオパーク


ユネスコ世界ジオパーク(UNESCO Global Geopark)は、国際的に価値のある地質遺産を保護し、そうした地質遺産がもたらした自然環境や地域の文化への理解を深め、科学研究や教育、地域振興等に活用することにより、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的とした事業です。

2024年現在、世界には48ヵ国213地域のユネスコ世界ジオパークが認定されています。日本では、洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、山陰海岸、室戸、隠岐、阿蘇、アポイ岳、伊豆半島、白山手取川の10地域がユネスコ世界ジオパークです。


出典:UNESCO Global Geoparks 2021 map
(UNESCO Global Geoparks > List of Geoparks & Regional Networks)


ユネスコ世界ジオパーク(UGGp:UNESCO Global Geoparks) ※英語サイト

世界ジオパークネットワーク(GGN:Global Geoparks Network) ※英語サイト

▼もっと詳しく知りたい方へ

ユネスコ世界ジオパークパンフレット 日本語訳 
ユネスコ世界ジオパークパンフレット 英語版 
ユネスコ世界ジオパークマップ2021 英語版 

さらに日本国内には、日本ジオパーク委員会(JGC:Japan Geopark Committee)によって認定された日本ジオパーク47地域あります(2024年10月現在。そのうち10地域がユネスコ世界ジオパークです)。


日本ジオパークネットワーク(JGN:Japanese Geoparks Network)

▼もっと詳しく知りたい方へ

日本のジオパーク活動 リーフレット 

ユネスコ世界ジオパークも日本ジオパークも、認定地域(および認定をめざす地域)のネットワーク活動を大切にしています。大会や研修会、日頃の交流を通して互いの経験や情報を共有したり、課題解決に向けて共に検討することによって、ジオパークのよりよい発展をめざしています。


日本ジオパークネットワーク
全国大会 ジオツアーの様子
(於:伊豆半島ジオパーク)


日本ジオパークネットワーク
関東大会 分科会の様子
(於:伊豆大島ジオパーク)


日本ジオパークとユネスコ世界ジオパーク

(2024年10月現在)


国立公園とジオパーク


国立公園は、日本を代表する自然の風景地として、自然公園法に基づいて国が指定するもので、2024年4月現在、全国に34ヵ所存在します。
その中で、伊豆大島は「富士箱根伊豆国立公園」に属しています。富士箱根伊豆国立公園は、富士山から伊豆・小笠原・マリアナ諸島に連なる火山帯のうちの富士山・箱根・伊豆半島・伊豆諸島の4地域から成る、火山大国・日本を代表する国立公園です。

環境省 富士箱根伊豆国立公園

国立公園は、「国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物多様性の確保に寄与すること」を目的として、自然の適切な「保護」「利用」を図るしくみです。優れた風景地や自然環境が失われることのないよう大切に保護するとともに、それらをより多くの人に享受してもらえるよう適切な利用を推進するという考え方は、大地の遺産を保全しながら上手に活用することで持続可能な社会をめざすジオパークの理念と共通するものです。
そこで、伊豆大島ジオパークは、伊豆大島を管轄する環境省・伊豆諸島管理官事務所と密な連携のもと、国立公園とともにさまざまな取り組みを進めています。


土砂災害崩壊斜面
土壌侵食・ 植生回復モニタリング調査


ジオクリーニング&ウォーキング


講演会『西之島の植物と生態系-火山島生態系のゼロから出発を考える-』




伊豆大島の魅力をみんなで大切に ~ 特別保護地区


伊豆大島は、島の面積90.76㎢の約97%が国立公園に指定されています。
そのため、島を取り囲む海洋と活動的な火山に由来する特異な自然景観や生物・生態系が大切に守られており、住民も来島者もその豊かな自然を味わい楽しむことができます

特に、伊豆大島の火山地形を代表する貴重なエリアとして「特別保護地区」に指定されているのが、島の中央部に位置する山頂カルデラ(下図「保護・利用計画概要図」の黄色のエリア)です。


富士箱根伊豆国立公園
大島 保護・利用計画概要図
出典:ミクロコスモス大島・利島
空間に遊ぶ(東京都)



国立公園の計画書には「…カルデラ内の噴火口、安永溶岩等の奇観およびその南東に広がる裏砂漠と呼ばれる火山荒原等、他に類を見ない原始的自然景観を呈する地区である」と、その指定理由が示されています。




特別保護地区では、特に優れた貴重な自然景観・原生風景を保護するため以下の行為は禁止されています。


車両(自動車・バイク・自転車等)の乗り入れ


動植物の捕獲、採取、伐採、損傷、砂利・溶岩の採取


※これらの行為にかかわる自然公園法違反については、6ヶ月以下の懲役 または 50万円以下の罰金罰則規定があります。


伊豆大島の至宝「裏砂漠」をはじめ、地球の圧倒的な営みが創り上げたこの唯一無二の自然景観の価値を損なうことのないよう、共に大切にしながら、存分に味わっていただけますと幸いです。


山頂遊歩道 特別保護地区
注意喚起看板


裏砂漠入口のロープ柵
(特別保護地区境界)


特別保護地区
裏砂漠境界の看板




国立公園における行為の申請・届出の手続き等について


※国立公園の地種区分、手続きの流れ(行為規制)、対象の行為、自然公園の区域の概略図、申請様式、根拠法令、審査基準・要領 などは、以下の東京都環境局のサイトからご確認ください。


東京の自然公園:自然公園法の行為規制