知ろう

伊豆大島ジオパークの基本情報と見どころ紹介

最終更新日:2022.3


伊豆大島火山の現在の噴火警戒レベルは 「1(活火山であることに留意)」です。
伊豆大島は活火山であるため、突発的な火山灰等の噴出に注意してください。【気象庁】


ただちに噴火が発生する兆候は認められませんが、これまでの長期的な膨張により地下深部にマグマが蓄積された状態にあり、火山活動はやや高まった状態にあると考えられます。また、近年の活動履歴を見ても、次の噴火活動期が近いと考えられますので、今後の火山活動の推移に注意してください。

▼噴気や地熱域など表面現象の状況
・噴気の状態・温度・地熱域の広がり等、特段の変化はありません

▼地震や微動の発生状況
・長期的には、地震活動は活発な時期と静穏な時期を繰り返しています
・低周波地震や火山性微動は観測されていません

▼地殻変動の状況
・地下深部へのマグマ供給によると考えられる長期的な島全体の膨張傾向は2018年頃からほぼ停滞しています
・約1~3年周期で膨張と収縮を繰り返す地殻変動は、2021年6月頃から見られていた膨張の傾向が、2022年2月頃から収縮に転じています

▼全磁力観測の状況
・地下の温度上昇による熱消磁は認められていません

※最新の「伊豆大島の火山活動解説資料」は ≫気象庁伊豆大島火山防災連絡事務所のWebサイト をご確認ください。




伊豆大島火山防災マップ


伊豆大島 火山防災マップ

伊豆大島火山防災マップ【PDF】

伊豆大島火山は、たびたび噴火を起こしている活動的な火山です。現在は静穏な状態ですが、次の噴火に向けてマグマの蓄積が進んでいると考えられています。このマップは、噴火が起こったり、起こりそうになったりしたときに、皆さんが身の安全を守るためにどのような知識を持ち、どのように行動すればよいかを知るためのものです。過去に起こった火山現象から、どのような危険があるのかを理解して、的確な避難行動を行えるようにしてください。

ただし、火山はまだ分かっていないことが多くあり、天気予報のようには噴火を予報することは困難です。突発的に噴火が起こることもあり得ます。特に伊豆大島火山は、山頂火口以外の住宅地に近い所や海岸付近などで、割れ目噴火や側噴火を起こす恐れがあります。また急激な地殻変動や地震の多発などの前触れの現象が起こってから短時間のうちに噴火が始まる恐れもあります。このため、このマップだけでは火山現象の危険性や避難の方法などを知るのに十分ではありません。

一方、火山は危険な状態に比べて安心して楽しめる期間の方がずっと長いものです。このような伊豆大島火山の特徴や避難のより詳しい内容は ≫ 防災の手引【火山編】≫ 伊豆大島火山避難計画 に記載してありますのでご確認ください。(大島町防災対策室)


三原山へ登る観光客の皆様へ


〇火山の情報を確認しましょう

≫ 伊豆大島火山の現況を知る

〇三原山に登る装備をしましょう

三原山遊歩道には足場の悪いところがあります。登山靴やハイキングシューズを履くようにしましょう。突発的な火山現象に備えて、ヘルメットなどが身を守るために有効です。できれば準備しておくとよいでしょう。三原山山頂口の展望避難休憩舎には、ヘルメットの無料貸し出しがあります。


展望避難休憩舎


火口展望台




〇突発的な噴火等から身を守る方法を知っておきましょう


噴石

  • こぶし大の噴石は火口から1キロメ-トル以上も飛ぶことがあります。
  • 避難壕に退避するか、岩陰などに隠れてください。
  • ヘルメットやナップサックなどで頭を保護してください

火山灰

  • 物が燃えてできた灰とは異なり、溶岩の細かな粒子で、ガラスのように硬いです。
  • 吸い込まないようにマスクや濡れタオルを使ってください。
  • 目に入ったときは、こすらないようにしましょう。

火山ガス

  • 二酸化硫黄は刺激臭があり、硫化水素は腐卵臭のある危険な火山ガスです。
  • ガスマスクがなければ、濡れタオルで鼻と口をふさぎ、その場から離れてください。
  • 火山ガスは空気より重いため、火山ガスが溜まりやすい窪地には入らないようにしてください。

三原山遊歩道沿いには、噴火時の噴石や火山灰から一時的に身を守るための退避壕を設置しています。山頂にある展望台も一時的な避難に利用できます。もし、山頂火口で突発的な噴火などが発生した場合には退避壕などに避難し、状況により火口から離れてください。


退避壕

退避壕


火口展望台

火口展望台


伊豆大島火山の現況を知る











事前に学び備える(火山防災マップ・避難計画・防災の手引きほか)




 











伊豆大島火山を学ぶ


①伊豆大島火山の地形


現在、活動している伊豆大島火山は、約5万年前に海底噴火から誕生した新しい火山です。噴火を繰り返して成長し、近くにあった3つの古い火山(岡田火山、行者窟火山、筆島火山)に覆いかぶさり、一つの火山島となりました。

島の中央部にある、直径3~4.5kmの大きな窪みはカルデラです。異なる時代に発生した複数の陥没カルデラが複合してできているため、まゆ型をしています。カルデラを取り囲む外側の山体を外輪山と呼びます。カルデラは、形成後に起こった噴火の噴出物で徐々に埋め立てられて浅くなり、山頂火口から流れた溶岩がカルデラ外にあふれ出やすい状態になりました。

カルデラ内の南西部には、中央火口丘三原山があります。1777-78年の安永の大噴火で三原山の現在の姿ができました。三原山の山頂部の直径(火口径)は約800mで、さらにその中央部には、直径300~350m、深さ約200mの竪穴状の火口(火孔)があります。火口の南西寄りにある小高い峰が、1950-51年噴火で形成された伊豆大島の最高峰、標高758mの三原新山です。三原山の北東側には、裏砂漠と呼ばれる火山灰・スコリアで覆われた地帯が広がっています。


島の大きさは直径約15km、短径約9kmで、北北西-南南東方向に伸びた、平行四辺形のような形をしています。そして、北北西-南南東方向の帯状の範囲に80個を超える側火山が分布しています。側火山とは、波浮港や岳の平、愛宕山、赤禿など、山頂火口以外の山腹や山麓で起こった噴火でできた火山性地形のことです。このような特徴的な地形は、伊豆大島周辺のプレートの動きに関連しています。伊豆大島が存在しているフィリピン海プレートは、年間約4cmの速さで北北西方向に移動していて、ユーラシアプレートとぶつかるところで沈み込んでいます。すなわち、島は北北西-南南東方向に圧縮されていて、その直角方向に引っ張られているため、北北西-南南東方向に割れ目が生じやすいのです。



島の西海岸は、この割れ目噴火の溶岩流で埋め立てられて、なだらかな平地が広がっています。一方、島の東海岸は標高300mほどの急峻な海食崖が発達しています。これは、島の基盤となった古い火山の存在によるものです。人の集落は、主に西側の平坦地につくられています。


②伊豆大島火山の地質と噴火史


伊豆大島火山は主に玄武岩質マグマを噴出する火山です。玄武岩質マグマは低粘性で流動性に富み、ガス成分が少ないので、溶岩噴泉を噴き上げたり(ストロンボリ式噴火)、溶岩流を流す、比較的穏やかな噴火を主としています。ただし、波浮港の元となる火口湖をつくったような、マグマが海水や地下水と接触して、マグマ水蒸気噴火といった爆発的な噴火を起こすこともあります。


伊豆大島の地質は、約1700年前の最新期カルデラ形成以降の噴出物を新期大島層群、それより前の噴出物を古期大島層群と呼び、二つに区分されています。丹念な露頭調査により、伊豆大島の地層は、スコリアの上に火山灰が重なり、さらにそれを土壌が覆うという地層が繰り返される(互層)という規則性が見い出されました。それによって、伊豆大島の大規模噴火は多くの場合、初期にはスコリアを放出し、次に溶岩を流出し、最後に長期間に渡って火山灰を噴出するという傾向をもつことがわかりました。そして、噴火の休止期に地表が風化したり風で運ばれた土ぼこりが溜まって土壌ができます。すなわち、スコリア・火山灰・土壌(風化火山灰)の層が1回の大噴火(1輪廻の噴火活動)を表しています。このような着眼点で堆積物から噴火史を読み取るという研究手法は、伊豆大島火山の調査において、世界で初めて適用されました。



島の南西部にある地層大切断面では、古期大島層群のうちの約1万8000年間、100回を超える大規模噴火の堆積物を見ることができます。

古期大島層群と新期大島層群との境界が、約1700年前のカルデラ形成の際に流れ出た火砕流堆積物の層です。まず山頂でスコリアの放出が起こり、その後、山頂を取り囲むように複数箇所で大規模な側噴火が発生。マグマ溜りからマグマが排出されたことによって空洞となったマグマ溜りに山頂部が陥没しました。その際、山頂部で水蒸気噴火が起こり、発生した低温の火砕流は島の北西部と南東部の一部を除いてほぼ全島を覆いました。

以降の新期大島層群の地層からは、総噴出量1億トン以上の大規模噴火の活動が12回確認されています。これらのことから、伊豆大島では、100~200年間隔で大規模噴火を繰り返してきたことがわかりました。


③近年の噴火活動


直近の大規模噴火は1777-92年の安永の大噴火です。明治期以降は、数千万トンを噴出する中規模噴火が40年弱間隔で4回発生しています。噴火の詳細は、≫ 防災の手引【火山編】 をご覧ください。

2022年現在、直近の大規模噴火から245年、直近の中規模噴火から36年が経過したことになります。地下のマグマだまりにはマグマが蓄積され続けていることが確認されており、次期噴火が近づいている可能性も高いと考えられています。

しかし、次期噴火がいつ、島のどこから起こるのか、どのような規模で、どのような推移をたどり、いつまで噴火が続くのか、噴火災害は他の自然災害と比べて不確定要素がたくさんあり、現在の科学技術をもってしても、事前や噴火直後にそれを把握することはできません。

いざというときに自身や大切な人の生命および財産を守るために、火山噴火について日頃から学び、理解を深めておくことが重要です。