薬師堂
英名 | エリア |
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Yakushi Shrine | 元町 |
薬師堂は、元町地区と野増地区の境界近く、一周道路から山側に上っていく細い道の突き当たりにあり、境内はスダジイやイヌマキの巨木に覆われています。吉谷神社の飛地境内社とされていますが、当堂は元町だけではなく、古来、全島民から崇拝されてきました。薬師如来像が本尊として祀られていますが、堂内に賓頭蘆(びんずる)像が安置されていることから、俗に「おびんずる様」とも呼ばれています。薬師如来は人々の病苦を救い、おびんずる様は特に眼病に効験があるとされ、正月8日には眼病の快復を祈願する信者が参詣します。
1957年に、堂内から30余体のヒノキ材の仏像が発見され、そのうち「観世音菩薩立像」1体、「地蔵菩薩立像」1体、「兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)」1体、「四天王立像」4体、計7体が平安時代後期の作とされ、東京都有形文化財に指定されています。
また、同時に発見された木札も「天文廿一年修薬師供養法木札」として東京都有形文化財に指定されています。木札には、天文21(1552)年の大噴火の際、下田から真言阿闍梨の沙門(修行僧)が来島し、百座の薬師如来供養法を修法し、般若心経一万巻を読み、法華経の経典をすべて写経して祈祷したところ、噴火が即座に鎮静したと記されています。スギ材の板札で、大島に残る最古の文字資料として重要な価値を持つものです。
現在、木像と木札は、大島町郷土資料館に展示されています。