生態サイト

火山活動によって形成された地形・地質を基盤とした、
海洋島ならではの多様な生態資源(動植物)

英名 エリア
英名Sakurakkabu Cherry Tree エリア泉津

都立大島公園から1km付近に自生するオオシマザクラの巨木で、樹齢は800年以上と推定されています。地質図上は今から約470年前、1552(天文21)年の大噴火で覆われた溶岩地帯にあることから、それ以降のものと考えられたこともありました。しかし、周辺の地形地質を検証した結果、桜株が生えているエリアは周りより高く、伊豆大島の粘性が低い玄武岩質溶岩は手前で枝分かれして周囲の低所を流れたため、桜株は溶岩流に飲み込まれずに生き延びたということがわかりました。このような場所をハワイの現地語で「キプカ kipuka」(「新しい溶岩流に囲まれ島のように残る古い森」という意味)といいます。春、黒一面の溶岩原の中で真っ白い花を咲かせる巨木は際立ち、航海の目印とされていたという言い伝えが残っています。

桜株の元株の主幹は折れて基部だけが残り、幹から分岐した3本の太枝が地につき根を張り、子株となって生育しています。1952(昭和27)年に国の特別天然記念物に指定されており、東京都にある唯一の特別天然記念物がこの「大島のサクラ株」です。

伊豆大島を名前の由来とするオオシマザクラは、サクラの野生種であり、伊豆諸島の準固有種です。かつて薪炭利用のため伐採された根株から萌芽再生した二次林で、島内では標高20m~550mの範囲に分布しています。

オオシマザクラは開花とほぼ同時に葉を展開するのが特徴で、新緑に純白の花びらがよく映えます。また、葉は柔らかくて大きく無毛であること、香りが強いことから、塩漬けして食用に使用されています。なお、ソメイヨシノは、オオシマザクラを父に、エドヒガンを母にして誕生した交配種です。


春、島の斜面を白く染める


「伊豆諸島の植生-草原と人里-」植生分布図
伊豆諸島植生研究グループ


位置情報