波浮港
英名 | エリア |
---|---|
Habu Port (Explosion Crater) | 波浮港 |
波浮港のもとの姿は、マグマ水蒸気噴火による火山地形「マール maar」です。マグマが地下水と接触し、大量の水蒸気が急激に発生して爆発的な噴火が起こり、大きな火口ができました。火口周辺1km程の範囲には、噴火で放出された爆発角礫岩が分布しています。それを838年神津島・天上山噴火の流紋岩火山灰が覆っていることから、マールをつくった噴火は9世紀初めに発生したものと考えられています。まもなくその火口は地下水で満たされ、火口湖「波浮の池」ができました。
1703(元禄16)年、元禄地震で発生した大津波は伊豆大島にも押し寄せました。津波が火口湖の縁を削り取ったため、火口湖が海とつながりました。この地形に目を付けた江戸の商人・秋廣平六が幕府に願い出て工事の一式引受人となり、港口に残っていた岩を取り除いて開削し、1800年に波浮港を開港させました。
天然の防風壁を持つこの港は風待ち港として栄え、町の発展の礎を築きました。特に、伊豆大島から約20km南方にある海底火山「大室ダシ」付近は伊豆諸島有数の好漁場で、全国から多くの漁船が集まりました。そこで獲れた魚を本土へ運ぶため、波浮港が中継基地として重要な役割を果たしました。
明治~昭和にかけては、多彩な文人墨客が観光や保養、執筆に訪れ、波浮港を題材とした貴重な作品を残しています。当時を偲ばせる情緒ある町並みが今も残っています。